お笑いタレントやマジシャンの初心者は、先生や先輩にネタやアイデアについてアドバイスを求めます。親身になって相談にのってくれる人であれば、とても素晴らしいアドバイスをしてくれます。
しかし、アドバイスを聞いても、実際には全く生かさない人がいます。
これでは、いつまでたっても上達しません。せっかくのアドバイスも、実際にパフォーマンスに組み込み、くり返し演じて精度を高めなければ、その人の物にならないからです。
アドバイスは集めるだけでは意味がない
私はマジシャンとしての経験が豊富です。マジックのアイデアや見せ方について、若手マジシャンや時にはベテランに教えてほしいと言われます。
そのような人にアドバイスをすると、人によってはアドバイスを試すこともなく、次々と他のアドバイスを求めてきます。
このような人は、アドバイスを試してもいないのに、頭の中で「自分には向かない」と判断します。そして、他にもっと良いアイデアがないか探しもとめます。
しかし、このような考え方では、いつまでたっても自分の体に染み付いた、説得力のあるパフォーマンスはできません。
アドバイスは短期間で活かすことはできません。
もらったアドバイスを何度も試行錯誤しながら、練習と本番を繰り返します。そうすることで、ようやく、新しいアイデアが追加されたり、余計な部分が削られたりして、アドバイスが活かされるようになるからです。
そのため、あなたはアドバイスばかりを集める「アドバイスコレクター」になってはいけません。
アドバイスは実行に移してこそ、初めて活きてくるからです。
少ないアドバイスを掘り下げることが重要である理由
アドバイスをたくさん受けたからといって、良いパフォーマンスができるとは限りません。
アドバイスを受けすぎると、かえって何をすれば良いのか分からなくなります。そのため、アドバイスは少ない方が良いといえます。
限られたアドバイスで何とかしなければならない状況であれば、必死になってアドバイスを活かそうと考えます。
そのときは、アドバイスをさまざまな角度から掘り下げて考察することになるため、アドバイスの潜在的可能性を探ることができます。すると、今まで見逃していたことに気付くことがあります。
このように、アドバイスから気付きを得ることで、オリジナリティー溢れるパフォーマンスを作れるようになります。
アドバイスをしてくれる人は、よほどひねくれた人でない限り、その人にとって良いアドバイスをしてくれます。あとは、そのアドバイスを深く掘り下げて考え、自分に活かせる可能性を努力して探すことが重要です。
マジシャンやお笑いタレントの初心者が、ウケるパフォーマンスを考える場合、先輩や経験者からアドバイスを受けなければ、なかなか前に進めません。
ただし、アドバイスは方向性を示すだけなので、うまくいくことを保証するものではありません。
アドバイスを活かすには、自分のパフォーマンスに取り入れ、失敗と研究を繰り返すしかありません。
以上のことから、アドバイスはとても貴重でありがたいものと捉える気持ちが大切です。
そして、アドバイスを活かしたパフォーマンスをすることが、アドバイスをしてくれた人に対しての恩返しになります。