マジックの古典的名作の一つに、カップアンドボールがあります。カップアンドボールとは、カップに入れた玉が消えたり現れたりカップの底を貫通したりするマジックです。
古代遺跡の壁画にも、カップアンドボールを演じている様子が描かれていることから、人類の進化の歴史と切っても切り離せないマジックといえます。
当時は現代のように、さまざまな技術が発展していません。「地球は平らでクレオパトラは生き返る」といったことを信じて疑わない時代です。
解決できない天災を鎮めたり、願いを叶えたりする手段として、まじないが信じられていました。
私の推測ですが、カップアンドボールはまじないに真実味を持たせるための手段として、ごく一部の祈祷師に利用されていたのだと思います。
人は特に心が病んでいるときに奇跡を見せられると、眉唾(まゆつば)なことでも信じてしまう傾向があります。
まじないの効力は、科学的に実証することができません。どんなに凄い祈祷師でも、効力を100パーセント実証することはできません。
そこで、カップアンドボールで奇跡を見せることで、まじないの効力を実証し、カリスマ性を高めていったのだと思います。
情報や技術が未発達な古代時代において、カップアンドボールは、まさにまじないが現実のものとなる奇跡の術だったのでしょう。
クロースアップマジックでカップアンドボールが人気の理由
現代においてカップアンドボールは、観客を楽しませるマジックとして多くのマジシャンに演じられています。
少し前になりますが、テレビのクイズ番組「なるほど・ザ・ワールド」で、私の師匠でもあるトランプマンが番組の最後にカップアンドボールを毎回演じていました。
3つのコップのうち、1つに玉を入れます。何度かコップの位置を入れ替えた後に、玉がどのコップに入っているか当てるゲームです。
観客は玉の位置を見逃さないように、必死に玉の入ったコップを目で追い続けますが、なぜか玉が入ったコップを当てることができません。
カップアンドボールが楽しめるマジックである理由
カップと玉を使ったマジックは、人類の長い進化の過程で、さまざまな見せ方や技法が開発されました。
玉が移動する不思議さを楽しんだり、玉の位置を当てたりする単純なマジックなので、子供でもお酒が入った大人でも楽しむことができます。
そのため、マジックを見せることを売りとするマジックバーや、マジックレストランでよく演じられています。
また、パーティーや結婚式でも、カップアンドボールは場の空気を和ませるマジックとして人気です。
さらに、カップアンドボールが盛り上がるもう一つの理由は、予想外のオチがあるからです。
玉の位置を当てたり、玉が移動したりするマジックと思わせておいて、最後は誰もが予想しなかったオチが待ち受けています。
マジックは、意外性があればあるほど盛り上がります。カップアンドボールは、今までの流れを覆すオチがあるので、観客に気持ちよく騙されることを楽しんでもらえます。
カップアンドボールを恋人や子供の誕生日に活用する
前述の通り、カップと玉を使ったマジックは予想外のオチがあるので、クロースアップマジックショー(観客の目の前で見せるマジックショーのこと)のラストを飾るのには相応しいマジックです。
子供や恋人の誕生日を祝うために、マジシャンを呼んで驚かそうと考える人がいます。そのような場合で演じても、カップアンドボールはとても喜ばれます。
カップと玉を使ったマジックと思わせておいて、実は最後にコップの中から彼女にプレゼントするアクセサリーが出てくれば、彼女はきっとプレゼント以上にあなたの心遣によろこびを感じてくれるはずです。
プレゼントのサイズにもよりますが、カップアンドボールを活用すれば、大切な人の誕生日をこのようなサプライズで演出することもできます。
カップアンドボールは、不思議さと予想外のオチで、結婚式やパーティー、誕生日会を盛り上げます。
ぜひ、間近でカップアンドボールを楽しんでみてください。