タレントのコダワリは相手に伝わらなければ意味がない

タレントのコダワリは相手に伝わらなければ意味がないマジシャンやお笑いタレントがパフォーマンスを考える場合、コダワリを持つことはとても大切です。コダワリが個性となり、お客様の印象に強く残るからです。

しかし、コダワリはお客様に分かってもらえなければ意味がありません。コダワリを分かってもらうためには、お客様が楽しめているかを常に振り返る必要があります。

「こだわり」と「独りよがり」は全くの別物

私はイリュージョンという、大きな装置を使ったマジックショーを行うことがあります。イリュージョンマジックは人体が切断されたり、剣に突き刺されたりする危険なイメージがあります。

そのため、イリュージョンを始めた当初は、「危険なイメージを強調できる、こだわった演出が必要」と考え、ホラー風の雰囲気で演じていたことがあります。

しかし、お客様の反応はあまりよくありませんでした。衣装や曲を怖いイメージで作りすぎてしまったので、誰もが楽しめるマジックショーではなくなってしまったのです。

また、私自信が怖いキャラクターでもないのに、無理して怖いキャラクターを演じたことも不評の原因です。

お客様に、私が本来のキャラクターに反して無理して演じていることが伝わり、お客様がイリュージョンの世界に入り込めなかったからです。

当初は「イリュージョンをお客様により楽しんでもらいたい」との思いで作った、コダワリの演出のつもりでいました。

しかし振り返って考えると、お客様のことを無視した独りよがりのパフォーマンスだったと反省しています。

そのため、独りよがりなコダワリを改め、お客様の気持ちになり、もう一度イリュージョンショーの構成を練りなおしました。

一般客を意識したコダワリの重要性

マジックやお笑いといったパフォーマンスは、そういったことが好きなファンが集まる場所でパフォーマンスをすることがあります。

そのような場所に集まる人の多くはマニアです。マニアは一般的なパフォーマンスでは満足してくれません。

そのため、マニアウケするパフォーマンスを考えます。しかし、これが一般のお客様には理解できないパフォーマンスを作ってしまう原因になります。

マニアが集まる場でのパフォーマンスは、見てもらえることが前提なので、内容が難しくなります。この内容を一般のお客様に見せると、難しすぎるパフォーマンスを押し付けることになります。

これが、一般客の反応を軽視する独りよがりのパフォーマンスになる原因です。

もちろん、そういった特殊な場でウケるパフォーマンスをすることは大切です。

しかし、その演技をそのまま一般客に演じてもウケない場合が多いので、内容を一般向きにアレンジする必要があります。

コダワリに自己陶酔してはいけない理由

マジックやお笑いといったタレント業は、コダワリすぎるといつの間にか周りが見えなくなり、自分の世界に入り込んでしまうことがあります。

知名度があれば、聴衆はコダワリを「流石」として認めてくれます。

しかし、初心者やキャリアは長くても無名な場合、コダワリのパフォーマンスがお客様にはうまく伝わらず「単なる自己陶酔」にしか見えない場合があります。

このような場合、お客様は義理で拍手したり笑ったりしてくれます。ただ、楽しめてはいないので、パフォーマンスの時間がとても長く感じることになります。

そのため、パフォーマーは拍手や笑いの質(義理なのか本心なのか)を理解して、お客様がコダワリを楽めているかどうか気にする必要があります。

パフォーマンスはお客様が見てくれて初めて成立します。

どんなに考えぬいたパフォーマンスでも、それに自分が酔いしれているだけでは、お客様に対して無駄な時間とお金を使わせてしまうことになります。

プロのパフォーマーであれば、お客様に楽しんでもらうことを最優先で考えなければいけません。

そのため、コダワリのパフォーマンスを披露するときは、お客様の立場にたって内容を構成することが重要です。