お笑いタレント:観客との心の噛み合いはライブで学ぶ

お笑いタレント:観客との心の噛み合いはライブで学ぶテレビ番組は時間の制約があります。そのため、先ずは長時間収録をして、その後の編集でタレントの面白い部分だけを切り張りします。

こうして編集された番組は、タレントが話す毎に笑いが起こり、リズミカルに番組が進行します。

私はプロマジシャンとして活動しています。テレビ番組にも出演したことがあります。撮影現場を思い出しながら番組を見ると、余計な部分がカットされ、面白いところがつなぎ合わされていることに気が付きます。

多少の失敗やつまらないシーンでも、テレビの編集技術というフィルターを通すと、見事にリズミカルで完璧な話の展開になるのだと感心しました。

しかし、実際にはリズミカルに人を笑わせることは大変です。

まず、相手が興味を持って見聞きしてくれなければ、トーク内容を理解してもらえないので、笑いやリアクションは起こりません。

さらに言えば、相手に興味を持ってショーを見聞きしてもらえる空気を作るまでが大変です。

既に知名度があり、ファンがたくさんいるタレントの場合は、最初の難関をクリアしているので、観客はショーを積極的に見聞きしてくれやすいです。

しかし、お笑いタレント初心者の頃は、そのような恵まれた状況でネタを披露できる機会はありません。そのため、お笑いライブではウケようとして必死にネタを披露することになります。

スベリを見ることも勉強のうち

お笑いライブではテレビ番組には無い緊張感を楽しむことができます。

前述のように、駆け出しのお笑いタレントがネタを披露する場合、観客の多くはそのタレントのことをよく知りません。

このような状況でネタを披露しようとすると、タレントと観客の間に妙な距離感が生まれます。

張り切ってステージに出てきたのに「しーん……」としてしまったり、ネタがスベって失笑すら買えなかったりする場合もあります。

しかし、このような状況こそが本当のお笑いライブのご酸味です。

しーんとした空気を盛り上げていく手腕や、失笑すら買えないネタで、どうやってステージを切り抜けていくのかといったアドリブ力は、同じパフォーマーとしてはとても気になります。

このように、お笑いライブはテレビ番組のように、5秒に1回は必ず笑いがあるような、完璧でリズミカルなものではありません。

人間同士の心の駆け引きが楽しめるのがお笑いライブです。

お笑いタレントは「観客を笑わせたい」と思い、観客は「笑いたい」と思っています。ところが、お互いの思いがうまく噛み合わないことはよくあります。

この噛み合わない思いが、あるときに噛みあうと、お互いの心が通じあいます。すると、タレントの調子もよくなるので、観客も心の底から笑うことができます。

お笑いタレントは観客との心の嚙み合わせが重要

人間同士の心の駆け引きはテレビ番組では分かりません。

心が噛みあうまでには、そこに至るまでのストーリーがあります。もしかしたら、心が噛み合うキッカケが、ネタがスベったことかもしれません。

しかし、編集されたテレビ番組では、スベったところがカットされているかもしれないので、心が噛み合うまでの途中経過を見ることができません。

私はマジシャンなので、お笑いタレントとはパフォーマンスのジャンルが異なります。ただ、パフォーマンスの心構えは共通していると考えています。

観客と心が噛み合えば、リズミカルで盛り上がるショーが行えます。

そして、このような観客との心の駆け引きは、心が噛み合うまでの途中経過を見ることができる、ライブを見ることが最も勉強になると考えます。

そのため、もしあなたがお笑いタレントを目指すのであれば、積極的にライブを見に行き、ウケたタレントとスベったタレントの「観客と心が噛み合うまでの過程の違い」を比較し、勉強することが重要です。