手品の3つの禁句:見えた・分かった・それ知ってる

手品の3つの禁句:見えた・分かった・それ知ってるマジックショー見る際、言ってはいけない3つの言葉があります。それは、「見えた、分かった、それ知ってる」です。

マジシャンは冗談半分で、「マジックを見る時は、見えた、分かった、それ知ってると言ってはいけません」と話し、観客を笑わせることがあります。

確かに、「見えた」とか「分かった」と言われた瞬間に、この決まり文句を言うと会場が盛り上がります。

そして、お客様はこれを「マジシャンが笑いを取るために言ったジョーク」だと思っているので、この指摘を真剣に捉えようとはません。

しかしこの指摘は、冗談で聞き流してしまうようなジョークではなく、本当に大切なことなのです。

マジックを初めて見る人の気持ちを考える

マジックショーは、お客様一人で見るわけではありません。テーブルマジックであれば数人、ステージマジックショーであれば、たくさんのお客様と一緒に見ることになります。

基本的にお客様は、マジックを真剣に楽しみたいと思って見ています。しかし、なかにはマジシャンの揚げ足を取ろうとする人もいます。そのような人の9割は「見えた、分かった、それ知ってる」と言ってしまいます。

マジックにはタネがあるので、タネが見えたり、分かったりする場合もあります。また、これだけメディアが発達していれば、見たことがあるマジックという場合もあります。

だからと言って、それを口に出してしまうのは控えた方がよいです。なぜなら、その発言が他の多くのお客様が楽しんでいる場の空気を乱すことになるからです。

特に、マジシャンがマジックを行う度に言ってしまうような人は問題です。本人は気づいていませんが、見ることが初めての人や、タネも仕掛けも全く分からずに楽しんでいる人にとってはとても迷惑です。

腰を折られるとマジックが楽しめなくなる理由

マジックは、現象が起きたその瞬間だけが見どころではありません。一つの不思議な現象を起こすまでには、起承転結の流れがあります。マジックは、この流れを追って理解していくことで楽しむことができるパフォーマンスです。

そのため、まだ何も現象が起きていない段階で決まり文句を言ってしまうと、真剣に流れを楽しみながら見ている方たちは、話の途中で腰を折られたような感覚になります。そのような状態になると、マジックの世界に入り込めなくなってしまいます。

例えば、塾で先生が問題の解き方を教えている場面を考えてみて下さい。

多くの生徒は成績を上げたいと思っているので、講義を真剣に聞いています。このような場で、「分かったから次行って」とか「それ知ってる」と講義の腰を折る発言をする人がいると、真剣に聞いている生徒にしてみればとても迷惑なことです。

これと同じことがマジックショーでも言えます。

マジシャンはショーの最中に、迷惑な人に対して説教することはできません。そのため、他のお客様に迷惑をかけていることに気付いてもらうために、言ってはいけない3つの言葉を話すこともあるのです。

3つの禁句をこらえるとマジックが楽しめる理由

自己顕示欲が強い人は、どうしても「見えた、分かった、それ知ってる」という言葉を言いたくなってしまいます。しかし、実際には見えてもなければ分かってもいない場合が殆どです。

そのため、もし3つの禁句を言いたくなったときは、少しこらえて下さい。その代わりに拍手をしたり、少し大袈裟に驚いたりして、場の雰囲気を盛り上げてみて下さい。

そうした方が、マジシャンも少し多めにマジックを見せてくれるかもしれません。これは他のお客様にとっても嬉しいことです。

マジシャンも人間です。大半のマジシャンは、そのような場を盛り上げてくれる人がいれば、サービスしたくなります。

せっかくのマジックショーです。是非とも素直な気持ちでマジックを楽しんで下さい。そうすれば、疑いの眼差しで見ることがバカバカしくなるぐらい、不思議さを楽しむことができます。