モノマネ芸人の見えない努力

モノマネ芸人の見えない努力マジシャンは、ショーを行うために道具を持ち運ぶ必要があります。特にステージマジックショーを行う場合は、道具がとても多くなります。

いろいろなパフォーマーを見てきましたが、マジシャンの道具の量は、他のパフォーマーと比べてもかなり多いと思っていました。しかし、マジシャンよりもさらに道具が多いパフォーマーがいることに気が付いたのです。

それは、モノマネ芸人です。

私はマジシャンなので、他のパフォーマーさんと仕事現場が同じになることがあります。時には楽屋が一緒になる場合もあるので、他のパフォーマーさんの準備や道具を見ることができます。

そこで気づいたことは、モノマネ芸人の道具の量はハンパないということです。

そっくりに演じるには衣装が重要

モノマネを行う場合、いかに「そっくりか」が重要です。対象となる元のタレントとそっくりになるためには、喋り方や表情はもちろん、衣装もそっくりにする必要があります。

そのため、もの凄い量の衣装を持ってきています。スーツケースが4,5個になっている場合もよく見うけられます。

もちろん、マジシャンや歌手などとコラボの場合は、披露するネタ数が少なくて済むので、衣装も少なめで済みます。

しかし、ワンマンショーの場合は、より長い時間パフォーマンスをする必要があるので、どうしても衣装が多くなります。

モノマネショーは、誰もが知っている有名タレントのマネをしないと観客は楽しめません。そのようなタレントは、個性が強く派手な人が多いです。

そのため、当然衣装も派手になるので、結果として衣装がかさばります。私はこの光景をみて、その大変さから自分にはできないと思いました。

しかし、モノマネ芸人は嫌な顔一つすることなく、いきいきとパフォーマンスします。プロなので当たり前ですが、それでもモノマネ芸人さんの心意気には感銘を受けます。

考えてみると、私もイリュージョンショーを行うときは、道具がとても多くなります。

だからといって、それが面倒という理由で嫌にはなりません。むしろ、積極的に行いたいと思います。おそらくモノマネ芸人も同じ気持なのだと思います。

「最高にそっくりなモノマネ」を披露するための結果として、衣装が増えてしまうのだったら、衣装を増やしてでもよりそっくりで、本物と見まがうようなパフォーマンスを行いたいと考えているのだと思います。

モノマネ芸は孤独な練習の繰り返し

このように、モノマネ芸人のネタ作りは本当に大変です。元のタレントの話し方や仕草を研究し尽くし、特徴的な部分を大げさにデフォルメする作業のくり返しです。衣装製作にも時間とお金がかかります。

ステージで見るときらびやかですが、練習は孤独だと思います。

マジックでも同じことがいえます。お客様に楽しんでもらうためには、孤独な練習のくり返ししか道はありません。

しかし、その結果としてお客様から歓声や笑顔といったリアクションが返ってくると、孤独な練習のことなど忘れて「演じて良かった」という気持ちしか残りません。

モノマネ芸人もこの気持があるからこそ、例え道具が多くなり大変でもできるのだと思います。

モノマネは、元ネタさえ分かれば誰もが楽しめる素晴らしいエンターテイメントです。

マジックやお笑いの場合、観客は内容を理解するために頭を使って見る必要があります。そのため、内容が難しいと理解できず、途中で飽きられてしまうことがあります。

しかし、モノマネは単純に見るだけで楽しめます。宴会やパーティーといったお酒の席でも飽きられることなく、イベントを盛り上げることができます。

そんな誰もが楽しめるモノマネ芸は、イベントを盛り上げることができる最高のエンターテイメントです。