マジシャンやお笑いタレントは、常に新しいネタを取り入れる必要があります。いつ見ても同じネタであると、お客様に飽きられてしまうからです。
そのため、新しいネタを考えることは、とても大切です。
面白いところだけをマネしてもうまく行かない理由
新しいネタのヒントを得るためには、実際に生でパフォーマンスを見ることが一番の勉強になります。そのような場では、よく練られたネタが披露されているので、真似したくなることがあります。
しかし、安易な気持ちで「面白かったところ」だけを真似してもうまく行きません。
ネタが面白いのは、パフォーマーが長い時間をかけて、ネタの精度を高めてきたからです。
オリジナルのネタは、ネタのストーリーとパフォーマーのキャラクターが見事にマッチしているため、演技に違和感がありません。
しかし、他のパフォーマーの真似ばかりする人は、ネタに対する愛着とこだわりがありません。ネタの面白い部分だけを切り貼りしただけなので、演技の説得力に欠け、ストーリー性もありません。
パフォーマーのキャラクターとも合っていないので、見ていて違和感を感じます。
これが、面白かったところだけを真似してもうまく行かない理由です。
ウケるネタにはそれなりの理由がある
マジシャンをしていると、頻繁にネタを真似されます。あまり技術を必要としないネタや、演技中のトークは平気で真似されるのが日常です。
例えトークであっても、なぜそのトークをするのかは、前後の整合性があって初めて威力を発揮します。
しかし、真似された演技は、前後の整合性までは考えられていません。ウケた部分だけ披露しているので、それほどウケることなく流されてしまいます。
そのため、どうしてもそのネタをやりたい場合は、考えたパフォーマーに確認を取り、ネタの前後の整合性も含めて演じてよいか許可をとる必要があります。
また、バレないだろうと思って勝手に演じても、マジシャンやお笑いの世界は狭いので、すぐに噂は広まってしまいます。
タレントの世界で安定して仕事を継続するためには、お互いに仕事を振り、助け合うことが大切です。
しかし、そのような噂が流れてしまうと、信頼を失い仕事が回ってこなくなります。そのため、真似をしても良いことは何もありません。
では、完全なオリジナルなネタを作れるかというと、それはかなり難しくなります。
それは、過去に同じようなネタが行われている可能性があるからです。マジックの場合、新しいネタを考えるのは不可能なぐらいネタが出尽くされています。
そのため、見せ方を自分独自のものにする必要があります。
過去の映像を見たり、本を読んだりして、自分のキャラに合った方法や見せ方を研究します。そうすることで、ようやく個性的なパフォーマンスを作り上げることができます。
ネタにプライドを持つ重要性
マジシャンの場合、曲から演技、話し方まで、全てを真似する人がいます。しかし、それではあまりにも節操がないので、止めるべきです。
例え同じ曲を使ったとしても、演じるネタを変えるなど、何かしらその演技に対するパフォーマーのこだわりが必要です。
完全コピーでは演じていても、後ろめたい気持ちしか残らないはずです。
同じようにお笑いタレントであっても、大部分が他のパフォーマーの真似だとしたら、すぐにその噂は広がってしまいます。これではタレント業界に居づらくなってしまうでしょう。
マジックやお笑いのネタに特許や版権はありません。真似しようと思えばすぐに真似できてしまいます。ただし、勝手に真似されたパフォーマーは、気分を害することになります。
狭いタレント業界で、「真似した真似してない」と言い争うのは、無駄な時間と神経を使うだけです。これでは発展的な未来は望めません。
真似することに多くの時間を費やすぐらいなら、その時間を使って個性的でオリジナリティー溢れるネタを考えた方がよっぽど有益です。
以上のことから、もしあなたがマジシャンやお笑いタレントを目指すのであれば、しっかりとネタを試行錯誤し、パフォーマーの魂が感じられる自分独自のネタを作る努力が必要となります。