小学校でマジックショーを行うときの演目選びの考え方

小学校でマジックショーを行うときの演目選びの考え方小学校でマジックを行うときは、演じるマジックの選び方が他の場合と比べてより難しいです。

会社のパーティーや幼稚園のショーであれば年齢層が決まっているので、その方々をターゲットにしたマジックを行えば喜ばれます。

しかし、小学校でマジックを行う時は考え方を変える必要があります。

小学校期間の6年の差を考える重要性

小学校時代は、義務教育の中でいちばん長い期間を過ごすことになります。また、人生の中で心身ともに著しい成長を遂げるのも小学校時代です。

1年生と6年生では、人生全体でみればたった6年の差です。しかし、この6年の差は大人になってからの6年の差と比べると、比較にならないぐらいの大きさです。

身体的に見れば、1年生は明らかに子供だとわかりますが、5,6年生になると大人の風格が漂い初めます。

心の面でも1年生は親と仲が良く、子供向けテレビを楽しみ、とても無邪気です。

しかし5,6年生では、もはや親といることが恥ずかしく感じる児童もいます。また、大人向けニュース番組の内容も理解することができ、知識も内容によっては親よりもはるかに詳しく持っている場合があります。

このように小学生は、たった6年の差でもこれほど明確な違いがある時期です。そのため、ショーの構成を考えるときは、学年による理解力の差を考慮した演目を考える必要があります。

トランプ当てマジックで考える理解力の差

そこで、数あるマジックの中でもいちばん頭を使う、「トランプを当てるマジック」を例に出して理解力の差を考えてみます。

低学年に見せるには、当てるまでの過程がより単純な方が喜ばれます。まだ無邪気な子供なので、見た目や動きの楽しさといった「感性で理解すること」により大きな反応を示すからです。

例えば、先ず選ばれたトランプを箱に戻しテーブルに置きます。そしてみんなで「選んだトランプ出てこい!」と掛け声をかけてもらうと、選んだトランプが箱から飛びでてくるといった、単純明快なマジックが喜ばれることになります。

一方、高学年は低学年と比べて遥かに理性が発達しているので、物事に対して道筋をたどって判断する力が付いています。

そのため、低学年向けの単純なマジックの見せ方では、子供だましに思われてしまいます。また、無邪気さも無いので、先程のような掛け声も恥ずかしがり行なってくれません。

そのため、高学年の場合では以下のようなマジックが喜ばれます。

「まず、一組のトランプの中からトランプを1枚選んでもらい、サインしてもらいます。そのトランプを一組のトランプの真ん中に差し込みます。そして、マジシャンがおまじないをかけると、サインされたトランプが一組のトランプのいちばん上から出てきます。

再びサインされたトランプを一組のトランプの中に戻し、テーブルに置いておきます。ここでマジシャンはポケットから財布をとりだします。サイフを開くと、中にはしっかりとのり付けされた封筒が入っています。そして、その封筒を相手に開けてもらうと先ほどサインしたトランプが出てきます」

高学年になると、何がより不可能なことであるかを論理的に判断できます。

この場合では、最終的にサインしたトランプがのり付けされた封筒の中から出てくることが、どれほど不可能なことであるかを理解できます。

そのため、高学年に見せるには、このような「進行過程を理解する必要があるマジック」でも、しっかりと不思議さを伝えることができます。

このように同じトランプ当てマジックでも、低学年と高学年では見せ方を変えなければ、より大きな驚きにはつながりません。

以上、トランプマジックを例に出して考えてみました。

小学校でマジックショーを行うときは、感性を刺激する単純でビジュアル的に分かりやすいマジックと、論理の部分に訴えかける知的なマジックをバランスよく組み合わせてショーを構成する必要があります。