タレントには、パフォーマンスが一般客にウケる人と、個人ライブやファインを集めたライブでウケる人がいます。
もちろん両方でウケるのが一番良いですが、どちらかに偏っている場合が多いと感じます。
私はプロのマジシャンです。パフォーマンスの勉強のために、マジックショーの他にもお笑いライブや、演劇なども見ます。
そこで思うのは、「演じられているパフォーマンスが、興味がない観客にもウケるのか?」ということです。
身内に優しい環境に慣れてはいけない理由
タレントのパフォーマンスを見にいく場合、タレントが主催している自主公演や、事務所主催のライブ、パフォーマーが所属している協会(奇術協会や落語協会など)の公演会などに行くことになります。
これらの場合、タレントのファンや身内、同業者などが観客の多くを占めています。
そして、これらの観客は、パフォーマーに対して優しいのが特徴です。
そのため、身内ではない一般客からすると、明らかに失敗しているのに拍手をしたり、それほど面白くもないところでウケたりするので違和感を感じます。
しかし、パフォーマンスが身内にウケたからといって、身内以外の人が集まる「アウェーなステージ」でもウケるかというと、それほどウケないことが多くあります。
もし、あなたがこれから、お笑いやモノマネ、マジシャンといったタレントを目指すのであれば、特に最初の頃は、あなたにとってアウェーな状況でパフォーマンスをすることになります。
「あなたに特別興味がない一般客の前でパフォーマンスをすることがほとんど」ということです。
そのため、パフォーマンスを作る際は、一般客でも楽しめるかどうかを考えることが重要です。
ギャラをもらう資格とは?
私が依頼される仕事は、お客様のほぼ全員がマジックや私に興味ない状況です。例えば、結婚式や企業パーティ、忘年会などです。
このような仕事の場合、お客様は、マジシャンが来ることを知らされていないことがほとんどです。マジックを見る心の準備もできていません。
しかし、プロのマジシャンであれば、マジックに興味がなく、私のことを知らない人ばかりの中でも、確実にお客様に楽しんでいただかなければ、ギャラをもらう資格はありません。
そのため、アウェーな状況でもウケるパフォーマンスができることが重要となります。
9割のタレントはアウェーな状況でパフォーマンスをする
テレビに頻繁に出演して、誰もが名前をしっているタレントは、タレント全体の中で10パーセントにも満たないぐらいの少なさです。
その他大勢のタレントは、名前が一般的に知られている有名人ではありません。
そのようなタレントがパーティーや結婚式などに呼ばれた場合、アウェーな状況でパフォーマンスを披露することになります。
アウェーな状況のお客様の多くは、見たことも聞いたこともないタレントのパフォーマンスを、最初から興味を持って見てくれません。
そのため、タレントはそのようなお客様に、いかに興味をもって楽しんでもらえるかを考える必要があります。
しかし、前述のような、身内に優しい観客ばかりに見せることに慣れてしまうと、実は大しておもしろくもないのにウケてしまうため、一般客が楽しめるパフォーマンスを考えなくなってしまいます。
その理由は、タレントが「自分はおもしろい」と勘違いしてしまうからです。
一般の観客は、つまらないパフォーマンスにはすぐ飽きてしまいます。これはパフォーマーにしてみれば、とても辛いことです。
しかし、これが現実です。
タレントとして仕事をしたいと思うのであれば、誰が見ても楽しめるエンターテイメント性が求められます。
そのため、タレント初心者は、先ず一般客に見せて喜ばれるパフォーマンスを考えることが重要です。