笑いのとり方:観客の反応を知り先回りしてネタを準備する重要性

笑いのとり方:観客の反応を知り先回りしてネタを準備する重要性テレビを見ているとお笑いタレントは、間髪入れずジョークを言い、視聴者を笑わせています。

その影響で多くの人は、「お笑いタレントは気の利いたジョークをいつでも言えて聴衆を笑わることができる」と思っています。

しかし、人を笑わせることは簡単ではありません。

お笑いタレントの話が笑えるのは、きちんと聴衆が笑うべきところで笑えるように、ストーリーを考えながら話しているからです。

もしあなたがお笑いタレントを目指すのであれば、相手を笑わそうと考えてはいけません。

おもしろいこと言おう、笑わせよう、ギャグを言おう、という思いが強すぎると、かえって聴衆に無理している感じが伝わり、人を笑わすことができません。

笑いに限らず、恋愛や友達関係でも、無理やり相手を自分に振り向かせようとすると、かえって距離を置かれてしまいます。

笑いをとるには、相手を自分のペースに自然と引き込み、あらかじめ用意しておいた「笑いのトラップ」を相手に踏んでもらうことが大切です。

そうすれば、あなたが話のペースを握ることができます。すると、ジョークやギャグが言いやすくなるので、自然と相手を笑わすことができます。

時間を感じさせないショーをするには笑いが大切

私はプロのマジシャンです。多くのお客様にショーを見てもらいます。このとき、ただ単にマジックだけを見せても面白みに欠け、ショーの時間が長く感じてしまいます。

観客に時間を感じさせず、「あっという間のショーだった」と思ってもらうためには、ショーがおもしろくなければいけません。

おもしろいマジックショーにするためには、そのマジックが不思議なことも大切ですが、それ以上観客に笑ってもらうことが重要です。

マジックは不思議さだけを見せると、観客はタネを考えこみ、静かになってしまいます。

そこで、マジックにジョークを加えます。すると、タネを考えこむ思考が笑いに変わるため、明るく活気あふれるマジックショーになります。

笑わせ上手は笑いのトラップをたくさん仕掛ける

私の先輩マジシャンに、とにかく笑いをとるのがうまい人がいます。

たまに、何人かのマジシャンでテーブルマジックをする仕事があります。そのとき、観客をいち早く笑わせるのがその先輩マジシャンです。

私は公私ともに先輩マジシャンに良くしてもらっているので、なぜ笑いに満ち溢れたショーができるのかその理由が分かります。

それは、「相手がするであろう反応に対して、全てジョークで返せるようにネタとトークの準備をしている」ことです。

例えば、マジックをしていると「何で?」とか「凄い?」とか「分からない」という決まり文句を言われます。

ある程度マジシャンの経験を積むと、見せたマジックに対して、観客が必ず同じ反応をすることが分かってきます。

「このマジックをみせれば、観客は必ずこういう反応をする」ということが分かるので、先回りして笑いのトラップを仕込みます。

これにより、マジシャンは観客が決まった反応をする前に、先回りして予めそれに対するジョークを用意することができます。

そして、観客がトラップを踏むと、待ってましたと言わんばかりに、それに対するジョークを言い、笑いをとることができます。

これが笑いのトラップです。

先輩マジシャンはこのトラップを、たくさん仕掛けているため、観客はすぐにトラップを踏んでしまいます。そのため、先輩マジシャンはすぐにショーのペースをつかむことができます。

観客は、間髪入れずに浴びせられるジョークの虜になり、最後まで笑い続けることになります。

笑いをとるには話の進め方が大切

また、何気なく話しているように見えて、実は笑いのトラップを観客自ら踏むように話を進めています。

例えば、観客に「ハトを出して」と言ってもらいたいとしたら、そう言ってもらえるように話しを進めます。そして観客がトラップを踏み、「ハトを出して」といったら、すかさずハトのオモチャを出すというようなことです。

観客は言ったことに対して、あまりにも適切なジョークが速攻返ってくるので、笑いと同時に、まるで反応を予言されていたかのような不思議な感覚になります。

私はマジシャンなので、例えがマジックのことになってしまいます。ただ、観客を笑わせる考え方はお笑いタレントにも共通します。

あなたがネタを考える際に、「観客の反応を知り、笑いのトラップを仕掛け、先回りして笑いのネタを準備する」という考え方を参考にしてみてください。