イリュージョンマジックとは大掛かりな機材を使ったマジックのことです。小さめなイリュージョン機材でも、小型の冷蔵庫ぐらいの大きさがあり、ショーをする以前に運搬するのが大変です。
また、それだけ大きな機材を使ったからといって、演技時間が長くなるわけでもありません。長くて3分弱です。イリュージョンによっては10秒ぐらいで終わってしまうのもあります。
ハンカチやトランプ、ロープを使ったマジックで3分弱演じるのと比べると手間がかかりすぎるので、決してコストパフォーマンスが良いとは言えません。
しかし、他のマジックでは表現することができない、豪華さ、不思議さ、プレミア感を演出できます。
ジグザグイリュージョンが人気の理由
私はプロのマジシャンです。昔からマジックは好きで独学で勉強したり、先輩マジシャンから教えてもらったりして、マジシャンになるための努力をしてきました。
もちろん、イリュージョンマジックも子供のころから憧れていたマジックなので、プロのマジシャンになったら絶対に取り組もうと思っていました。
イリュージョンマジックにはたくさんの種類があります。その中でも特に人気なのが「ジグザグイリュージョン」です。
ジグザグイリュージョンとは、人が棺桶のような箱に入り、ブレード(刃)を刺すと体がバラバラになってしまうマジックのことです。
イギリスのマジシャン、ロバートハービンが考案しました。
ジグザグイリュージョンは昔からあるマジックなので、テレビやインターネットで見たことがある人は多いと思います。
それにも関わらず、マジックショーのオーダーの際には必ずリクエストされる人気のマジックです。
ジグザグイリュージョンのリクエストが多い理由は、ブレードを刺して体がバラバラになったにも関わらず、グロテスクな感じを受けないからでしょう。
子供が多いショーの時には、「子供が怖がらないマジックをお願いします」とお願いされますが、「ジグザグイリュージョンは演じて欲しい」と言われます。
いっけん、危険で教育上好ましくないように思えますが、実際に見るとむしろ滑稽で、子供たちの想像力をかきたてます。
ジグザグイリュージョンの種類とメリット、デメリット
ジグザグイリュージョンには、デザインや仕掛けが異なるバリエーションがたくさんあります。それに伴い呼び名も「スライサー」や「モダンアート」などさまざまです。
ジグザグイリュージョンは、昔は3分割になるのが基本でした。しかし、今では10分割ぐらいになるものもあります。3分割と10分割では仕掛けが全く異なります。
ただ、「分割数が多くなれば凄いか」と言うとそうでもありません。
マジックはやりすぎると胡散臭くなります。仕掛けが複雑になり無理が生じて、逆に不思議に見えなくなってしまうのです。
3分割のメリットは、箱の中の人の顔、手、足が見えているところです。実際に人の体の一部が見えているので、観客はリアルなスリルを楽しめます。
また、仕掛けがシンプルで準備も比較的簡単なので、場所を選ばすどこでも演じることができます。
デメリットは、昔からあるイリュージョンなので、新鮮味に欠けるとこでしょう。
では、分割数が多い(例えば10分割)ジグザグイリュージョンのメリットは何かというと、新鮮味になります。どう考えても、人の体が10分割になり元に戻ることは考えられません。
では、10分割の場合も先ほどと同じように箱の中の人の顔、手、足が見えた状態でできるかというと、さすがに無理が生じます。
この無理を克服して観客に体の一部を見せようとすると、例えば偽物の手や足を使うことになります。本物と違い、偽物は見ていて違和感があります。
また、仕掛けが複雑になり装置も大きくなるので、マジシャン以外にも多くのスタッフ(ステージハンドという)が必要になります。
照明設備やバックカーテンがないステージで演じると、ネタ場(隠れる場所)が目立ってしまい、不思議さが半減してしまうデメリットもあります。
このように、一口にジグザグイリュージョンとはいっても、仕掛けやデザインはさまざまで、メリットとデメリットがあります。
そして、これが必ずしもジグザグイリュージョンは、分割数が多いほど不思議で凄いとは言えない理由です。
ジグザグイリュージョンは3分割から始まり、その後、多くのバリエーションが開発されました。次々とバリエーションが開発されたことを考えると、「箱の中の人が分割される」というスリルは、多くの人が興味を抱く現象と言えます。
以上のように、危険でスリル満点な現象を安全に楽しく再現できるのがジグザグイリュージョンです。
ちなみに、上記の写真は5分割になるので、ジグザグイリュージョンのバリエーションの一つということになります。
ジグザグイリュージョンは実際にライブでみると、よりいっそう人体の一部がズレる不思議さを楽しむことができます。
パーティーやイベントでイリュージョンマジックショーを企画する場合は、マジシャンにジグザグイリュージョンができるか問い合わせてみてください。