仕事のクオリティーは完璧が求められます。例えば、味噌バターコーンラーメンを頼んだのに、バターが入っていなかったとしたら、クレームになります。買ってきたばかりの掃除機が動かなかったら、返品されます。す。
このように、特に日本では仕事のクオリティーの高さが求められるため、仕事は完璧にこなす必要があります。しかし、テレビ出演を目指す場合は、完璧を求めようとすると、かえってうまく行かない場合があります。
テレビはスキが求められる
私の知り合いのマジシャンで、有名なお笑いタレントが所属する事務所と同じ事務所に所属している人がいます。私はそのマジシャンに「有名お笑いタレントと同じ事務所ならテレビに出る機会はないのか?」と尋ねたことがあります。
そのマジシャンは有名大学を卒業して頭もよく、完璧な技術とセリフで構成されたマジックを披露します。
しかし、そのような完璧なマジックをオーディションで見せると、驚いてはくれますが一言「テレビ向きでは無い」と言われるそうです。
そのマジシャンはディレクターに、テレビ向きではないとはどういう意味か尋ねると、「あなたのマジックは完璧すぎるので、他のタレントが突っ込むスキがないからだ」と言われたそうです。
テレビでマジックを行う場合、ただ単にカメラに向かってマジックを行うわけではありません。ひな壇に有名タレントやお笑い芸人が座った状態で行われます。
そして、ひな壇タレントがマジシャンの演じるマジックにツッコミを入れたり、コメントをしたりすることで番組を盛り上げます。
しかし、マジックが完璧すぎるとただ単に不思議なだけであって、タレントがツッコミを入れるスキが無なってしまいます。そうすると、テレビとしては盛り上がりがなくなり、つまらない番組になってしまいます。
そのため、マジシャンがテレビに出るためには、わざと失敗したり、簡単にタネが推測できるマジックをあえて行う必要があります。そうすることで、タレントや芸人がツッコミやすくなり、面白い番組ができあがるからです。
そして、このようなことはマジシャンだけに言えることではありません。
テレビではツッコミやすい人が求められる
例えば、音楽大学の声楽科を卒業し、歌がうまい人はたくさんいます。しかし、歌がうまいというだけで、その人たちが全員テレビに出られるわけではありません。
むしろ、歌は多少下手でも若さとおバカキャラを全面に出した、「歌って踊れるおバカアイドル」の方が、テレビ的にはツッコミどころがたくさんあるので、テレビに出られる可能性は高くなります。
テレビではタレントや芸人がツッコミやすく、番組を盛りあげてくれる人材が求められます。そのため、あなたがテレビ出演を目指すのであれば、自分の見せ方を研究する必要があるといえます。
例えば、ファッションモデルであれば一般的に、「身長が高く、ハンサムな顔立ち」が良いとされます。
しかし、これがテレビになると「高身長でハンサムなモデル」という理由だけではスキがなく、他のタレントにとってはツッコミにくい存在となってしまいます。
これが同じモデルでも「身長は190センチもあるのに、なぜか足がやたらと短いモデル」でしたら、そこがスキになるので、タレントもツッコミを入れやすくなり、番組が盛り上がります。
このように考えると、テレビでよく見るタレントはキャラが際立っています。
日常生活を送るには、あまりにもキャラが濃すぎて社会に馴染むことができないような存在でも、テレビの世界では逆にそのくらいの方が、ツッコミ所がたくさんあり、使ってもらいやすくなります。
タレントは、必ずしもテレビに出ることだけが目的ではないと思います。しかし、タレント活動をしていれば、何かのキッカケでテレビに出る機会にめぐまれるかもしれません。
そのような時に備えて、日頃から自分のスキや見せ方を研究しておきましょう。
そうすれば、いざテレビ出演!となったとき、ディレクターに「コイツ面白い」と思ってもらえて、その後、長く使ってもらえるかもしれません。
ただ、どんなにズッコケキャラになっても、高いクオリティーの仕事を心がけることが大切です。