イベントを行う際、お笑いタレントやマジシャンなどのタレントを呼ぶと会場が盛り上がります。
このとき重要となるのが、タレントのギャラです。たった20分しか出演しないのに、ギャラが10万や20万になる場合もあります。知名度のあるタレントであれば、100万を超えることも十分あり得ます。
固定給の仕事をしている人からすると、なぜタレントのギャラがこれほど高額なのか理解できない人もいるかと思います。
ギャラには見えない費用が含まれる
イベントでのタレントの出演時間は短いかもしれません。しかし、パフォーマンスを完成させるためには、多くの時間とお金がかかっています。
アイドルであれば、歌や踊りを習うためのレッスン費があります。衣装も特注で何着も制作する必要があるのでお金がかかります。
モデルやダンサーも綺麗なスタイルを維持するのは、日々のトレーニングとケアの賜物といえます。
私はマジシャンですが、ショーの中で何気なく使っている道具は、実はとても高価なものばかりです。
このように、本番ではたった20分ぐらいの出演時間かもしれませんが、その20分のために日々努力を重ね、お金をかけてトレーニングを行い、技術開発をしています。
そのため、必要以上にギャラの値下げを迫ることは、タレントにとってはクオリティーを維持することが難しくなるので、望ましいことではありません。
タレントは代替ができない
タレントは代替ができません。例えば、レンタカーを借りる場合、借りる予定だった車が故障したとしても、他の車で代替できます。しかし、タレントは唯一無二の存在なので代替することができません。
そのため、どうすることもできない災害などが起きたとき以外は、仕事を行う必要があります。タレントが「親の死に目に会えない」といわれるのは、このような理由があるからです。
このように、とても責任がある仕事なので、うかつに風邪をひくこともできません。
とにかく、毎日を最高のコンディションでいることが求められます。そのためには、日々の食生活や体調管理に気を使う必要があります。このようなことを毎日意識的に続けるにもお金がかかります。
先の案件は正規料金になる理由
タレントが仕事を受ける場合、後からよい金額の仕事が来たとしても、最初に決まった仕事を受ける必要があります。そのため、先のスケジュールを押さえる場合は、正規料金をいただくことになります。
よくあるのは、「少しだけ出演するだけで良いから安い金額で出演して欲しい」という依頼です。
スケジュールが近く、ちょうど予定が空いていれば、タレントにとっても仕事をした方が稼ぎになるので、メリットになるかもしれません。
しかし、先にも述べたとおり、まだ分からない先の予定を、割引価格で押さえられてしまうと、後から来た正規料金の仕事を断らなければならなくなります。
これでは、せっかくの正規料金の仕事を逃してしまうことになり、タレントのモチベーションも下ります。
タレントは、出演時間だけ仕事しているわけではありません。リハーサルをしたり、準備や片づけなども仕事の一環です。
移動することも考慮に入れると、例え出演時間は短かったとしても、かかる手間は通常の時間で出演した場合とほとんど変わりません。
タレントの出演料が高いのは、以上のような理由があるからです。
マジックをはじめ、お笑いや音楽、伝統芸能などは誰かが行わなければ後生に受け継がれることはありません。こういった芸事は無形なのなので、価値を理解してもらうことが難しい場合があります。
しかし、無形ではあっても人々の鋭気を養う役目がある大切な文化です。
そのため、タレントのギャラにはそれなりの理由があることを認識すれば、依頼する側も依頼される側も気持ちよく仕事をすることができます。