マジシャンが苦手とする屋外イベント

マジシャンが苦手とする屋外イベント
私はプロのマジシャンです。色々な現場でマジックショーを行います。様々な現場環境で沢山のお客様に楽しんで頂けるように、研究と練習をくり返しています。

しかし、屋外でマジックショーを行う場合、どんなに研究と練習を繰り返したとしても、苦戦を強いられることが多々あります。これは、他の多くのマジシャンも同じことを言っているので、私に限ったことではありません。

マジックを屋外で演じることが難しい理由

マジックは環境にとても影響されやすいパフォーマンスです。例えば風が強い日は、トランプやハンカチ(シルクという)が飛んでしまったり、テーブルが倒れたりします。

マジックは不思議な現象を起こすため、演技の途中行程も計算にいれてショーを構成しています。

そのため、例えばもしハンカチが飛んでいってしまったら、その中から出るはずであった鳩を出すことができなくなってしまいます。

もし、テーブルが倒れてしまったら、道具が壊れたりセッティングが乱れたりしてしまい、予定していた演技ができなくなってしまいます。

さらに、屋外の場合はお客様に後ろから見られることもよくあります。

これを考慮に入れ、後ろから見られてもタネがバレないマジックを選ぶとなると、どうしてもレパートリーが限られてしまいます。

そのためクライアント様に、「屋内で演じて好評だった演目を屋外でも行なって欲しい」と頼まれても、お応えできない場合があります。

このようにマジックは、屋内で行う場合と比べると、屋外では予測できないアクシデントが起こる可能性があるため、レパートリーが限られてしまいます。

私が苦労した屋外マジックショー

私がマジシャンになったばかりの頃は、経験が少なかったこともあり、屋外でマジックを行う際、とても苦労したのを覚えております。

そのような中でも特に、真夏のマジックショーは本当に大変でした。

マジックはタネを仕込まなければできないので、どうしても衣装が長袖、長ズボンとなってしまいます。そのときは、はあまりの暑さで衣装が汗で体にへばり付き、思い通りに動くことができなくなってしまいました。

さらに、ポケットに入れていたトランプも、汗と湿気で使い物にならなくなり、トランプマジックもできませんでした。

そのため、予定した演技時間より短くなってしまうので、何とか他のマジックを引っ張りながら演じることで、時間を伸ばしました。

また、神社の夏祭りでも想定外のできごとに苦戦させられました。そのときは、出番が夕方からだったので多少は涼しくなっていましたが、その代わり虫に苦労させられました。

蚊に刺されるぐらいなら大した問題ではありません。

しかし、スズメバチなど明らかに危険な虫がステージを飛び交ってしまうと、パフォーマンスに全く集中できなくなってしまいます。

この時は、虫を追い払いながら演じていたので、思い通りのパフォーマンスができませんでした。

このように、屋外でマジックを演じる場合は、想定外のできごとを考慮に入れて演技を構成しても、それを上回る想定外のアクシデントが起こる可能性があるのです。

プロなので、どんな状況でも受けた仕事は行わなければいけません。

しかし、先ほどのようにスズメバチが飛び交う中で仕事をするのは、マジシャンに限らず誰でも実力を発揮することはできないと思います。

今でこそ、屋外でマジックショーを行う際の対策は十分考えていますが、それでも行うたびに何かしら新しい想定外のアクシデントが起こります。

屋外で想定外のアクシデントに悩まされないでマジックショーを行うことは、マジシャンにとって永遠のテーマと言えます。